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西都保健生活協同組合 
「たぬきのひとりごと」

セルフメディケーションの先には

この10年間、家でも仕事でも穿き通したジーンズの膝に、掌大の大きな穴が開いちゃった。もう少し丁寧に穿けばよかったな、と後悔しつつ、健康寿命の尽きたジーンズにも愛着があり、女房に、くまさんのアップリケを縫い付けてもらった。電車の中で、くまさんの鼻のあたりを、もぞもぞといじるベビーカーに乗った小さい生き物に、ほほえみかけた瞬間、引きつった顔をした親らしき大人。なぜだろう。私の高尚高潔さを知っている同僚たちや、吉男もリキもまゆも、よくお似合いですよと、云ってくれているような気がするが、、、。

セルフメディケーション

一生懸命働いて、月の収入が10万円に満たない方が多くおられるという話を聞いてしまうと、たかがテレビの為に10万円を使うのは申し訳なく、中古で買った92年製のテレビを使っている。間もなく映らなくなるとのことで、夜も寝ないで見ていると、腰が痛いときには湿布を買って使え「セルフメディケーション」という宣伝が始終流れてくる。WHO(世界保健機構)の唱える self medication は、「自分自身の健康に責任を持ち 軽度な不調は自分で手当てをすること」で、薬を使うことイコールではないはずだが、そういえば、、、。

ドラッグストアで売上げが多いのは、風邪薬らしい。日本の風邪には○○が効くとか、早めの▽△とか、石川君や竹下さんの笑顔とともに、口について出てくるほどに刷り込まれているフレーズ。ペーとかピーとか、外来でも商品名を指定して風邪薬を希望される。

ちょっと待て、風邪の症状は、治めることが必要なのか。薬を使うことで、本当に早く治っているんだろうか。この8年ほどの間に 私が直接目にした耳にした 処方された風邪薬での トラブルは10例以上。転倒し骨折し、中にはそれを契機に亡くなった方もおられる。たかが風邪薬とも云えない。

 

症状は非?

60歳代の男性です。生活習慣病で定期通院中ですが しょっちゅう風邪をひいた鼻水がでるということで 頻繁に総合感冒薬の処方を受けていたんですね。受診時毎回のように 5-7日分の処方を受け 9ヶ月間(270)に都合60日分(180回分)。配合されている抗ヒスタミン剤で喉が渇き タバコも吸うしで いがいがして咳がでる。順次対症のためのお薬が追加され 都合15種類の定期処方 (誰が修正できるのかなぁ)

熱がでたと、孫さんを連れてくる おじいちゃんおばあちゃん。孫可愛さで、症状を早く取ってやりたい。親も仕事で休めない。「注射はないのか、薬をだしてくれ」。(子供の頃、注射は痛いし、薬は苦いし嫌だったなぁ。でも、額のタオルを取り変えてもらい、その手で首筋を触ってもらうと気持ち良かったし、冷えたみかんの缶詰が美味しかったから、風邪ひくのは楽しみだったなぁ)

熱がでたと、往診してみると、真夏に厚いセーターを着せられて、タオルケットの他に分厚い布団を2枚も重ねられ、真っ赤な顔してふーふー云っている。薬欲しがる家族を落ち着かせ、掛け物をはがして薄着にして、水分を摂らせて、蒸しタオルで身体を拭き、腋の下とか、首筋を冷やして30分もしなういちに、熱がさがって笑顔がでてくる。翌日また熱が上がってきたからと、往診すると、またセーターに分厚い布団に赤い顔。点滴して欲しい。薬が欲しい。

医者のいらない医療()を目指して

製薬会社だけの責任か。処方する医者、飲む患者には責任はないのかなぁ。医学が進歩し家で病人を看る慣習が少なくなった、健康は是で不健康は非というステレオタイプの常識の延長線上に、風邪をひいたら風邪薬。症状は止めるものだ、風邪は治すものだということを前提にして、倣いに従い、薬を買ってのむ。医者に治してもらう、ができあがったのか。

私が尊敬している先日103歳で亡くなった方。90歳になったとき「目も見えなくなり、耳も聞こえなくなってきた。あぁこのままでは呆けてしまう。何か始めなくちゃと思った」と、編み物を孫さんに習い始め、かわいい魚の食器洗いは100歳の時の作品。嫌な症状とも、上手にお付き合いをして、自分自身で、適切に昇華できている。これこそ、セルフメディケーション。

ただ高齢になってから こういう考えを初めて持つというのは難しいでしょうから若いうちから 自分の人生を生きること大切にしたいもの。死を迎えるときにもセルフメディケーションできるようになれば、私などは悠々と昼寝していられるんだけどなぁ。

 東京共済 2011年8月1日号