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西都保健生活協同組合 
「たぬきのひとりごと」

うしろこんべ まぐまぐ

うしろこんべまぐまぐ

 

蕎麦打ちがなかなか上達しないので、まだ医者をしている北クリの保坂です。梅雨明け間近、今年一番の暑さの中、お蕎麦屋さんに長居して、いつもなら大相撲中継が流れるラジオからの、今日は長瀞の川の音を風がわりに、たぬきうどんとかつ丼を、食べながら原稿を書いております。

秋田では、頭痛を主訴として、「きんにゃおどでな、がんとして、そいがらだば、あってでもねってでも、なんづきやめで、うしろこんべまぐまぐって、なもかもならね」と、受診される方が、多くあります。(最期に標準語訳を付記してあります)

頭の中身を良くする方法、表面をきれいに飾る方法は、私には荷がかち過ぎて、お偉い先生にお任せするとして、今日は、頭頸部をなんとなく、解剖してみることにいたしましょうか。

頭蓋骨

ヒトの頭蓋骨は、28個の骨からなり、いわゆる脳延髄を包む頭の骨(神経頭蓋)だけではなく、顔面頭蓋である頬骨・下顎骨などや、鼓膜の内側にある耳小骨(鎚骨・砧骨・鐙骨)も含まれます。手足体幹と違い、下顎骨以外は、お互いに骨同士で連結していて、ほとんど移動しないのが特徴でもあります。

赤ちゃんが産道をとおり易くするため、また脳成長しやすいように、生まれた時には板状の骨が45個もあり、成長するにつれ、お互いに癒合していくのです。頭蓋骨の隙間で有名なのが、前頭骨と頭頂骨の間にある大泉門です。

以前、友人に赤ちゃんが生まれた時、大泉門を知らずに心配し、電話をかけてきたことがありました。「妊娠中に、愛し合った時にできた穴だよ」という冗談を真に受け、眠れぬ夜を過ごしたそうです。悪いことをしたと、反省したものです。1歳半頃までにはふさがります。

なづき

秋田では、額のことを「なづき」といいますが、語源は、よくわかりません。項部(うなじ)の語源といわれる、頷く(うなづく)と似ていて、混ざったのかなとも考えますが、古い古い昔、名刺のことを「なづき」といったようですから、もしかすると、「天下無敵のむこう傷 拙者早乙女門土之介」ということで、額が名刺代わりとしてなづきと云ったのが残っているのかもしれません。

額は、髪の生え際と眉毛の間のことをいうのですが、ここで一つ大きな問題が生ずるのです。若いころには、我ながらうっとりするほどの富士びたいであったのですが、いつの間にか生え際がM字を形成し、額と頭の境目が不自由になってしまいました。さらに悲しいことに、最近では、左右頭頂骨の合わせ目を中心にしてO字に薄くなり、心が弱っている時には特に、雨の冷たさを世間の冷たさと誤解してしまうこともあります。この先にはOMは、じきに癒合しU字を形成することが想定されていて、その場合に頭頂部も額と呼ぶべきなのか、額が広いのは、知性の象徴とすると、中身を伴わずに知性的に見えることには、倫理的に正しいのか、私自身も周囲も、そのギャップを納得できるのか、悩みはつきない状況にあります。

うなづき

(うなじ)は、首の後ろをいいます。頭蓋骨の下のくぼみを、ぼんのくぼといい、仕置き人が、鍼をさしこみとどめをさす、延髄がここにあります。

 

何と魚にも首はあり、えらのあたりが、それに当たるのだそうですが、「くびれ」がない。えらがなくなった両性類では、首らしきものができているものの、ちなみに蛙は、首は縦にしか触れない。つまり蛙は、非常に素直で付き合いやすい性格をしているのかもしれません。一方、ヒトは、首が細くなることで、横にふることが出来るようになったわけですが、つまり、きれいなうなじをした女性は、見るには良いが、人間関係を形成するには、適さないということで、これを称して、スマートネックジレンマといいます(うそです)

 

標準語訳

「一昨日、突然の頭痛に襲われました。以来、動いていても寝ていても、前頭部/額が痛くて痛くて、後頭部が重苦しくて、どうしようもないのです。」 緊急で、頭部CTを撮影し、クモ膜下出血という診断になります。

(民医連東京共済 2010.9.1号掲載)